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ルーズソックス

1997/6

手術した父が寒いという。
特に足が寒いという。
靴下が必要だという。

私は靴下を買ってきた。
白くて長くてふっくらとした靴下を買ってきた。
それはたぶん、都会の女学生がはいているルーズソックスというものである。
それはたぶん、田舎の女学生には校則で禁止されている白物である。

父はそれがとても気に入ったようだ。
しかし看護婦さん達には、評判が悪いかもしれない。
変態じいさんみたいに見えるかもしれない。

しかし、常識だとかなんだとか知ったことではない。
それが目的にかなっていれば、良いのである。
父は、常識だとか世間の評判をあまり気にしないのである。
もっとも、
父には、ルーズソックスがいかなる代物であるかの知識は全然ないのだった。