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杜の辞典参加作品集

我が辞書に不可解なるものは存在しない。すべからく単純明解、支離滅裂にて言語道断なり。

言葉
意味
: 人間の発する毒素である。
: 理不尽に、あるいは理由をつけて、えこひいきすることである。
: 無条件にえこひいきされることを奥ゆかしく、ずるがしこく待ち望む心である。
: 「激しくえこひいきすること」を臆面なく褒め称えることである。
: カルト教団において洗脳に利用される心理工作技術である。
寂しさ
:人間の発する毒素によって引き起こされた、禁断症状である。
 適当な期間、隔離すると症状は消失する。
 さらに長期間、孤独療法を実行すると、
 その感覚がいかなるものであったかさえ忘れてしまう。
歯医者
文明人の歯の自殺を幇助する文化施設。
歯の葬儀屋。金銀宝石で歯の死を飾る芸術家。
NHK監視料金
NHKが悪いことをしてないか監視する義務と権利のための会費。
しかし、面倒だから最近私はNHKを全然観察していない。
NHKに勤務する真地面で研究熱心な人達と、
NHKの監視を続ける真面目な人々に対する支援金でもある。
退屈
:幸福なことが思いつけないほどの絶望的幸福。
:不幸からさえ見放されてしまった日常的不幸。
想像
:まがいものの経験を撒き散らす現像力であり、
:まがいものの経験をかき集めた再生像である。
シンボル
:何か得体の知れないものを、適当な通俗物で表現して、わかったつもりにさせること。
:様々な専門分野において、好き勝手に利用されている得体の知れない専門用語。
冗談
:でまかせのショートショートファンタジー。
:このような場所で冗談について言及することは、冗談が冗談を言うようなものであって、すごく危険である。冗談が発振して臨界を越えると、このバケツの中でブラックホールが発生して世界が消滅するかもしれない。
別れ
:生活がよりいっそうシンプルになる出来事。
:幸福と不幸の会計処理がされる時。
余分な幸福にあづかっていた者には悲しみが、
過剰な不幸に恵まれていた者には、安楽が訪れる。
広告
:国民生活を画一化するための通信教育である。その教育費は洗脳教育された者が負担するとても合理的なシステム。
労働者、販売員、消費者等、各種歯車達がなまけないように、必要がなくても必要以上に回転させておくための興奮剤。
大人
:自分達の複製を作成し保育する機能を有する者。
最近の人間は各種の悪念電波や放射線を浴びているせいか、うまく複製が作れなくなりつつある。
テレビ
:人類電化文明初期の人間達の頭脳の中に共有幻覚を作り出す装置。
ファンタジー
:日常生活があまりにも退屈なので、気が変になりそうな人々が続出しそうな時代に、
一部の、頭が奇妙になってしまった人が妄想世界に住む楽しさを大衆に伝達する伝記文学。
SF
:かつて青少年達が科学技術の進歩による幸福な未来を信奉していた時代の宗教文学。
ミステリー
:日常生活があまりにも退屈なので、犯罪行為が続出しつつある時代に、
犯罪者の知能を賛美したり、その心理過程に同情するようなことを書いて、犯罪を堪能させる飽食文学。
罠 (わな)
:人間の悪賢い頭から生えてくる角のことである。
有史以来人間はその頭を振り回しては、狡猾なる生存競争を戦って来たのである。
秘密
:本来の秘密に関する秘密は語りえぬものである。
:秘密が秘密である間は幸福をもたらし、秘密が秘密でなくなる時から不幸が始まるのである。
時計
:機械文明に鼓動する回転力をその部分品としての人間に伝達するための歯車である。
人々はその呪縛にとらわれ、どこに行くにもそれを手錠のように縛りつけるようになった。
現在
:現在に近い過去のこと。
:現在が進んでいるという思いは錯覚である。
 現在とは、泉のように新しい過去を生成する宇宙の創造力のことである。
過去
:過去は存在しない。
 それは、時間と空間の理論の中、次第に消え失せる記憶の中、人類の共有幻想の中にある。
:私と宇宙の誕生以前、語りえぬ空虚が広がる。
未来
:星を見上げて人は、はるかな未来を思う。
 しかしそれは、はるか過去の光の反映を見て錯覚しているのである。
 未来は過去の情景が作り出した幻想である。
:未来は、私の死、太陽の死、そして宇宙の死。
:ごみ袋を漁るカラスや猿みたいな人間から、人間社会でのみ通用している各種ガラクタを守るための装置。
:利用者の脳味噌の記憶領域の退化具合を検察して、締め出したり閉じ込めたり即席に罰するための機械。
忘れる
:国会議員の超越的特権行動。
:物事を楽しく始めるための前準備。
:原初人間型に復帰する悟りの技法。
あいさつ
:誰も彼もが感染している反復神経症。
:猿の時代からの伝統ある集団内地位の確認儀式。
:ありふれたロボットのような定型言動をしてみせることで、よくコントロールされていて害のない人物であることをアピールすること。
悪口
:個人が趣味でしているニュース報道。
:相対、間接的な、我、我等に対する誉め言葉。
:他者の身になって感じる倒錯的で奥ゆかしい謙遜の言葉。
感想
:一流芸能人の心積もりで三流芸能人としての幸福を陳述すること。
保証
:無責任で卑怯で野放図な人類が自滅しないために発明した自縛的社会機構。
製品保証:故障時期を表わす製品情報。この期間を過ぎると早々に故障して使い物にならなくなるように設計するのがメーカーの腕の見せ所である。
安全保障
:人類を効率的に絶滅させる技術力を、賛美したり自慢するための国家的兄弟仁義ゲーム
先生
:技術者や専門家をおだててこき使うためのキーワード。
:各種社会制度のはしごを登って上階に安住しているおのぼりさん達のための尊称
欲望
:血液のように人間ロボット体の隅々までに満たされた活性的プログラム。
健康的な生得的機能や、各種状況認識に結合蓄積された職人芸のように、有用なものもあるが、
伝統的がらくた宿業ウイルスや、奇妙な生態をもたらす新種ウィルスも存在する。
いたずら
:子供の創造的自由活動を意味する言葉であったが、
いまどきの子供たちは真面目な働き者なのでいじめや犯罪活動に忙しい。
かわりに普段真面目な先生が不毛な逸脱的繁殖活動をして捕まることもある。
訂正
:訂正項目の中にはさらなる訂正を要する事柄が多分に含まれる。
訂正を実行すると不都合が解決される場合もあるが、思いもよらない不幸に見舞われることもある。
訂正は親切心から到来し不幸をもたらす。その不幸の手紙のような訂正事項を見なかったことにするか、それとも余計な仕事を追加するべきか、悩んだあげく当り散らして何もかも投げ捨てるのである。
幸せ
:馬車馬コントロールされた人々の鼻先に設置してある人参のこと。
:真っ白な画用紙のように、なにもかも幸せな境遇においては感知されず、夜空のようにお先真っ黒な人生でこそ強く意識される。
21世紀
:預言者達の商売道具。例えば私は予言する。『21世紀』は何かの果物か野菜の名前にでもなるであろう
:あまりにも頭が良すぎるので具合が悪くなった人々が知能を低下させるために服用する飲み物。
:あったら入りたがる人々が陥ったり叩かれたりする人生という名のもぐらゲームの必需機構。
:自然が修復しつつある状態。あるいは自然によっても修復不能な有様。
人類が総力をあげて地上を楽園にしようと働いたことによる地球の有様。
自由
:政治団体の名前に利用される。権力闘争の複雑怪奇さは政策に反映されそれは誰も理解したくない代物になる。それらを処理するには優秀で鈍感な役人を大勢必要とし、庶民の創造的自由活動を妨害するのである。
 自由とは一般に人間の内的ロボット機構が滞りなく機能することであると考えられている。
病院
:人間の修理工場。人間を精密部品の集合体であるという科学的世界観を元に、各種部分品の薬品処理、修繕補強、交換等を行う。
 多くの高級嗜好な人達は、最新鋭の工場に行って最新鋭の実験装置に触ってもらいたがる。
 病気自慢や暇人の集会所。廃品や不良品のようにみなされた人物の保管倉庫として機能する所もある。
義理
:世間あるいは特定団体にマインドコントロールされた自発的ボランティア活動。
 親類あるいは友人に依頼された得体の知れない政治活動や不正行為や、がらくたの購入
義理
:会社で媚びを売る男は、家では奥さんをペットにしたがる。
 奥さんは不愉快なので子供に説教して憂さ晴らしをする。
 子供は不愉快なのでペットに意地悪をして憂さ晴らしをする。
 ペットは管理社会の必需品である。
ペット
:会社で媚びを売る男は、家では奥さんをペットにしたがる。
 奥さんは不愉快なので子供に説教して憂さ晴らしをする。
 子供は不愉快なのでペットに意地悪をして憂さ晴らしをする。
 ペットは管理社会の必需品である。
写真
:現代文明の悲惨な情況を表現するために、現代文明が発明した記録システム
顔写真 :人間が悪いことをするのを防止するためにある。あるいは悪いことをした人間を捕まえるために使用される。
商品写真:人々が沢山の物を欲しがって沢山のごみを作るために作られ、それ自身もけっこうなごみになる。
風景写真:やがてありとあらゆる場所がごみの山や海になるので、古き良き時代の思い出のために作成されているのである。
本能
:動物の本能はその精妙さについて感心されるが、
 人間の本能はその愚劣さについて嘲笑されるのである。
 人間の本能はそのような都合の悪いことを勝手に発明して、それを隠したがることにある。
小説
:小説は近代印刷技術により梱包された記号による催眠術である。
 この文明的ファンタジーはつかのまの人工的輝きを意識にもたらすが、
 根源的ファンタジーは魂を燃やし、人々をおののかせる。
クリスマス
:聖者クリスマスが天国から下賎な地上に転落したあげくに散散な目にあった記念日。
 下賎な地球の土着民たちは、このことを喜んで毎年お祭り騒ぎをする。
 子供達はクリスマスケーキをたらふく食べて虫歯になって痛い思いをするのである。
金(マネー)
:サービス精神が物質化した後、中間子となったその相互作用が人間間の引力を生成する。
 他者に対するサービス精神の貧弱な者にはこの力が押し寄せてきて創造力を押しつぶす。
 この精神の足りない者のところには、お金が行かないように策略をめぐらせるというのが自然な親切なのである。
:欲望。野心。野望。未来に対する執着。輪廻生成する幸福と不幸の原因。
 他者にとって迷惑にならないものであったり、有難いもの、独自の価値のあるものである時は美化され尊重され奨励される。
 他者にとって迷惑な場合は、執念、怨念、悪だくみ、変態願望などと言われ軽蔑される。

:人間の意識状態の一形態。本人は超能力などを発揮して、恐ろしく有能になったつもりであるが、
 恐ろしく知能が低下している状態である。簡単な足し算も満足に出来ないのである。
 理系の能力は悲惨なものであるが、文系、ビジュアル系の空想能力は支離滅裂に発揮される。
最終回
:各種業態において特徴あるサービスが期待される。
 9回裏逆転ホームラン、KOノックダウン、ハッピーエンド、どんでんがえし等。
 退屈な教養番組などでは、この退屈さは完璧なものに仕上がるのである。
電話
:人間用のリモコン装置。
 寝ている者をたたき起こしたり、食事中や各種取り込み中の人間に対しても、ハイハイと言うことを聞かせることができる。
 うまくコントロールできない時は、相手が別種の冷徹な機械装置とか古狸とか豚とかそれに準ずるものなのでないか確認すべきである。
 もしそうならあきらめるべし。取説にもそんなものは保証外であると書いてあるであろう
孤独
:世界が私のことを放置したとしても、それは自由で豊かな孤独になるかもしれない。
 しかし私が世界に対して何も役にたつことをしないのなら、貧しい孤独なのである。
期限
:汽車に乗り遅れたとしても、汽車は知ったことではないのである。
 人生において、すべきことをしなかったとしても、神々は知ったことではないのである。
誕生日
:個人に関する年月日の情報なのであるが、女性において、年の情報は忘却され、月日だけが巡ってくる。
 素敵な贈り物を頂戴すべき素敵な記念日である。
気晴し
:気晴らしの一種の「浮気」は虫(人間性の片隅に潜むバグ)により引き起こされる。
 気晴らしは、ストレスを消化しようと悪夢を追い求めて日中にうごめく「獏」の仕業である。
流行
:伝染性疾患である。
 肉体を媒介とするものは流行性感冒であり、
 人間の感性を媒介として増殖するものが一般的な「流行」である。
 その感性世界に生息するウィルスの構造はいまだ良く解明されていない。
学校
:「自由な人間による自由な人間への、人間を素材とした神聖なる芸術活動の行われる所」ではなくて、
 ひからびた文部省の設計図にもとずき、ロボットのような監督と労働者達がロボットのような人間を大量生産する現場。
プライベート
:ブラックボックスである。内部でとてつもなく意地汚いことをやっていることについて外部の人々を悩ませないためにある。
 この機構のおかげで外部の者は快適な外面と同時に高性能なサービスを享受できるのである。
親切
:親切の両極端、
 子供を甘やかし続けたあげくに欲張りな無能者に育て上げる場合と、
 教育だとか訓練だと称して子供を谷底に叩き落としてしまう場合と。
 親切な人であるには、親切な感性と、親切のための能力との両方が必要である。
うそ
:嘘は概ね有害な情報であり、「嘘である」は有用な情報である。
 うそつきはどろぼうのはじまり、それは独善的超越的搾取者への糧である。
 うそも方便、それは独善的超越的奉仕者の技法である。
 うそを管理し自転車操業を持続するには際限なく緊張する知能を要し、知性を枯渇させる。
 うそが臨界点に達して爆発する時にはその規模に応じて様々なものを破壊する。
 それはちっぽけな体面、人望、信用、信頼、あるいは自己あるいは他者の命であったり、さらには国家的戦争行為にまで及ぶ。
理数系
:具体的目的のために抽象空間に浮遊する理論的雑用係。
:情緒的鎮痛システムの副産物。善男善女が生得的に得ている悟りの一形態。
うわさ
:俗人達によるコミュニケーション空間に放たれた創作的芸術活動。
 デフォルメの手法、サイケデリックコラージュの技法等が用いられる。
 多くの人々をとりこにするうわさには2つの要素がある。
 表現内容が赤裸々なる空想的欲望を満たすことと、
 表現技術において質感が自然で本物のように見えることである。
約束
:約束が成立するためには、記憶能力、記憶を持続する意志と記憶を想起すること、さらに無垢なる善良さを要する。
 人間の共同的社会生活は、この数限りない明示的あるいは暗黙の約束にもとずいて営なまれている。
料理
:主婦あるいは主夫の仕事の一分野。彼らは必要以上に、この仕事を複雑なものにしている。
 それは遺伝する社会神経症の一部分なのである。
 彼女達は毎日毎日これに悩んでいるのである。いかにして複雑に見せかけるかについて悩んでいるのである。
わがまま
:存在におけるわがまま: 歴史的有名人に見られる普遍的人格「唯我独尊」
 味覚におけるわがまま: ピーマンが嫌いだとか人参がきらいだとか。生まれて来てまず最初に迫害される個性。
 生活におけるわがまま: ロビンソンクルーソーのように孤島に住むならば達成される。
 感情におけるわがまま: 現在、人類は感情において自由を獲得していない。
 それゆえ、のべつまくなしわがままである、とともに自立してわがままにはなりえていない。
結婚
:恋愛の穏やかなる終焉の地。そしてさらに往生際の悪い者達にとっては不倫の養成地ともなる。
 現在日本ではこの社会構造はそのしかるべき機能を失いつつあり。日本民族は穏やかなる絶滅へと向かっている。
安全
:頭の上をミサイルが飛んでゆく時にこそ話題にされるもの。
 家庭内においては頭の上を包丁が飛んでゆく時にこそ熟考されてしかるべきものである。
友達
:相対的であり主観的である、計測不能な、肯定的人間関係性の中間地帯。
 状況次第で、恋人ではないと言い張るための防護地帯であったり、
 単なる知人の範疇に追いやられたりする。
:校長先生の退屈な訓話の中で、得体の知れない道徳的説話に登場する小道具
天気
:天の気持ち。太古の原初的妖術的世界観から発生した厳粛なる言葉である。
 しかるに、軽薄な現代においては、能天気な無内容な言葉に成り果てている。
 人々は、とりあえず手持ち無沙汰に、このことについて話し始めるのである。
月曜日
:月曜日のことを特別に意識しない人は、たいていが自堕落か能天気な生活をしている。
趣味
:趣味は、たいていが、ありふれた趣味である。そして、
 悪趣味は、たいていが珍妙な趣味である。
おばさん
:おばさんには、概ね2種類いる。
 おばさんと呼ばれたことに気がつかない人と、
 いちいち、「おねえさんといいなさい」と、訂正する人とである。