隠遁生活

　私の家での能天気な隠遁生活は、各種植物と軒を争うように繁栄しております。色んな植物は軒を凌駕し、無花果は隣家の車の上に思う存分、果実を降り注いでいます。右写真は、玄関前の駐車場のコンクリートに空いた直径10cmの穴から生えてきた植物です。この小さな穴には、いつも様々な雑草が生えているのですが、今年は、このように大きな花を咲かせるものが生えてきました。たぶん、ユリの花です。この駐車場は父が死の間際に工事したものです。この小さな穴は4つ空いていて、電動車椅子を格納する小屋の支柱のための残痕なのです。父は生涯、自分で車を運転したいと願っていた。その執念の残骸がこの無念に空いた穴には感じられるのです。しかし小屋が完成する前に、父は亡くなってしまった。この花を見ると、「百合の育て方」の小さな本を、父の横たわる棺桶の中に添付したことを思い出します。
　その駐車場には、兄のおんぼろ自動車が放置されています。私は、兄のことを野良犬程度にしか思っていません。野良犬がどこかから靴を拾ってきて庭に放置するように、兄は様々なゴミ同然の物資を納屋や母屋の部屋に溜め込みます。詰り、詰らん物が詰まって困った物です。　
　私は何時の頃か異邦人になりました。父や母のことを、「なぜだか知らないが、私に対して、えこひいきをしてくれる親切な隣人」のように考えるようになり、兄のことを、「その恩人達の御子息」であると考えるのです。私は異邦人なので、土着民の言葉である方言が巧く使えないし、兄は方言で語りかけるので、会話が弾みません♪。

　CS放送で毎日のように見ていた、韓国ドラマ「初恋」が今日で最終(全66話)でした。このドラマでは兄弟・家族愛、恋愛感情が強力です。貧乏人の家族愛と、見境の無い恋愛と、金持の貴族愛によって騒乱が生み出されます。とっても面白いです。
　人は当然の権利だと考えていることが侵害されると怒ります。金持ちの親父は、娘が、貧乏人の画家風情と交際するので、怒り心頭し、手下を駆使して、身の程知らずの陰気で真面目な主人公を追い回します。主人公の弟(ぺ・ヨンジュン様)が捕まって、兄の居場所を吐かせようと一晩中殴られました。とても可哀想です。兄の方も追い回されたあげく身体障害者になってしまうのですが、この弟が優秀な人間で、殴られてもすぐに元気になって、司法試験には受かるし、会社に入れば、たちまち出世して、その金持ちの親父の会社を倒産に追い込みます。金持ちの親父は怒りが天にも昇り血管が切れて倒れてしまいました。この陰気な顔つきの娘の評判が、インターネットで検索すると、良くないです。「この娘の非常識な恋愛活動のせいで、みんなが不幸になる」ということらしいのですが、私は、この一途な恋愛感情はとても可愛いと思う。しかし小生意気なチェ・ジウはもっと可愛い。