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賛美歌

私は、授業を受けていた。講義が終わった時、
賛美歌が聞こえているのに気が付いた。
アヴェ・マリアだ。
それが、幻聴か、そうでないのか知りたくなった私は、
前の人に聞いてみた。
「君は、賛美歌が聞こえないのかね」
そいつは、まるで、私が狂人でもあるかのように、
怪しい目つきをしたものだった。
私は、言い訳をするために、ラジオを取り出し、
イヤホンを耳に突っ込んで見せた。
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後でわかったのだが、
そいつも、その世界も何もかも、みんな幻覚であった。
唯一、賛美歌のみが、現実であった。

私は、テレビをつけたまま寝て、夢を見ていたのだった。
その放送局は、真夜中に音楽を流していて、その、
美しい、賛美歌が私の夢の中に、舞い降りたのであった。