荒川静香選手のイナバウアーが大人気。

私はNHKをあまり見ないので相撲は嫌いではないが、相撲には関心しない。相撲は、取り巻きみんなで、おだてて賞賛するものだから、相撲取りは、次第に化け物のように肥大化してしまう。寿命も短くなるし、気の毒だ。相撲の基礎ルール・判定基準がよろしくない。判定基準に則って邁進すると人間の形としてはトンでもないことになってしまう。たぶん、相撲は昔、食い物があまり無い時代に人気のあったスポーツだ。飢え死にしそうな骨皮筋右衛門達にとって、相撲取りは、究極に美しい人体の形だと感じられたのに違いない。ルノワール画伯の描くような極端な肥満体が美人だと思って生活を続けると病気になりやすい。反対に現代の女性達の多くは栄養失調のミイラみたいな体形を理想的だと思っている。現在日本は旨い食い物が蔓延していて肥満するのはたやすく、痩せることは困難だ。簡単に達成できないことが、理想的な美に感じられるのである。
私は貧乏人なので、ゴルフをしたことがない。一生、ゴルフをすることはない。好きも嫌いも無いのだが、金持ち連中の娯楽と健康増進のために、ゴルフ場が発展して環境破壊が成長するのはケシカランと思うことにしている。私のような田舎の貧乏人は、田園風景など見飽きていて美しいなどとは感じない。環境破壊でもして、人口的で不自然な景色になったほうが美しいと感じるのである。夕日を美しいと感じるのは、僅かな時間だけ見える珍しい景色だからだ。人間は珍しいものに美を感じる。一方で、珍しい要素が無い時にも美を感じる。珍しい要素が全然無いということは極めて珍しいから美を感じるのだ。目、鼻、口、輪郭・・の全ての要素に奇妙な珍しい形が無い時に、美人だと感じるのである。

ルール・規制が硬直化すると、自由に美しく在ることは難しくなる。彼女が姿勢の正しいY字スパイラルの途中から手を放し、空に両手を差し出した時、それは自由の美しさを表現しているように私には感じられた。軽々と自由を達成しているように見えるが、その達成の困難さは計り知れないとも思えたのだった。