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近況

 テレビの写りが悪くなりました。UHFアンテナの方向にある木が成長したのです。電波の邪魔になっている、ビワと花梅の上部を切りました。屋根の上に伸びた枝も切りました。樋に貯まって生えている草を除去しました。広がりはじめていた屋根の上のツタも撤去しました。ツタの根が瓦の隙間に侵入すると雨漏りの原因になるらしいです。
 私は基本的に、外界の生き物の盛衰に介入したくありません。好き勝手に植物が成長しているのが好みです。自然主義です。落ち葉は気分が良いです。しかし、ポリ袋、プラスチック、空き缶等の人工物が散乱しているのは嫌いです。兄は好き勝手にあちらこちらにそういった類のゴミを放置します。それらは蚊の繁殖原因になります。
 私は外に出ないし隣人と会わないので知りませんが、理論的に考えて私の家は周りの住民から嫌われています。人は生活空間に寄ってくる生物は死んでほしいのです。除草剤・殺虫剤・殺菌剤と神経質に一生懸命に生物の死滅をめざしています。
 貧乏人が近所に生息することも嫌われます。私の家には貧乏葛が発生しています。この草は人々から酷く嫌われています。この草が生えていると怠け者の貧乏人であると思われるので、真面目な人は熱心にこの草を抜きます。しかし 抜いても 抜いても絶滅しないのです。潔癖症の人に苦しみをもたらす草なのです。しかし私はまったく気にしません。キッチンの窓の網戸にも張り付いています。小さい宝石を散りばめたような花が咲き、蜜を求めて蝶や蜂が訪れるのは風情があります。ちなみにヤブガラシ(別名:貧乏葛)を検索すると、対処法は怒りにまかせて無闇に切ったり抜いたりするのではなく、くるくると丸く束ねて地面に置くと良いそうです。
 屋敷周りに木香薔薇(モッコウバラ)があります。この植物は野放図に枝が伸びるので、やっかいです。駐車場や道路の通行の邪魔になりますので頻繁に剪定する必要があります。藪枯らしが木香薔薇の繁殖を抑制するなり枯らしてしまうと、私は助かりますが、近所の人にとって、貧乏蔓よりも木香薔薇の景色のほうが世間体は良いです。
 木香薔薇の生命力に対抗するにはヤブガラシでは力不足です。何年か前に兄が持ち込んだ植物はヤブガラシよりも強力です。ハヤトウリです。春に何個か適当にあちこちに転がして置いておくだけで、あたり一面全面的に覆い尽くします。しかも一応野菜なので、耕作放棄地ではなく真面目に農業をしている風体になります。
 庭の大部分は農地登録になっています。農地の領域は私が幼稚園児の頃は低くなっていて米を作っていました。脱穀機の絵を描いた記憶があります。その後、地上げをして宅地と農地の境がよくわからなくなりました。たくさんの果物の樹がありました。桃、葡萄、梨、蜜柑、キュウイ、無花果、枇杷。桃と葡萄はいくつかの品種を作っていて、袋掛け作業をしていました。子供時分に、たらふく食べさせてもらったので、現在スーパーマーケットで値段の高い果物を見てもそんなに欲しいと思いません。桃の木は花が咲くけれど実にならないので、兄が切り倒して燃料にしたと思います。葡萄は小さい実が少しぐらいなら実っているかもしれませんが、巨大な雑草が生い茂っていて鬱陶しいので私は近づきません。皮が丈夫だけど甘い種類の蜜柑は落ちていたら収穫します。今年は数多く実りましたが例年より小さいです。
 庭と母屋は兄によって実効支配されています。電気代、水道代、固定資産税は私の口座から落ちています。兄は時々電気をつけたまま、あるいは水道を出しっぱなしにしたまま自宅に帰ってしまいます。水道は水の勢いが弱くなるのでわかります。ところが水道局から漏水の警告文書がありました。兄が劣化したバルブを設置していました。私は新品のバルブと蛇口を買ってきて2箇所付け替えました。これは兄が耄碌したのか、もともと注意欠陥症なのか、あるいは植物への愛情から意図的に水を流しっぱなしにするのか不明です。
 毎月、いとこの僧侶が読経に来るせいで母屋の玄関、仏間、仏間の前の書斎は、私の実効支配化にあります。その他の部屋は兄のお宝でありゴミでもある品物で詰まっています。
 その書斎に、古い、3年前に10万円で組み立てたPCと8年前に26万円で買ったディスプレーを設置してインターネットができるようにしました。兄が時々使用しています。